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戦後の日本人の生活様式や意識の変化に加え、石油化学製品の著しい発達、また近年では他のアジアの国からのコピー商品や廉価品の蔓延によって、かつて欧米諸国から「漆の国」として知られた日本でも、漆工芸とその技術は衰退の一途を辿っております。
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このような状況は漆工芸に限らず、すべての伝統工芸に云えることで、戦後の教育と価値観の変化によって、外国のブランド品や廉価品に翻弄され、美しい風土と二千年の歴史に育まれた、日本の「美」や「技」ばかりでなく、「伝統」や「文化」までもが失われつつあります。
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確かに近年の「和のブーム」で、メディアが伝統工芸を取り上げることも多くなり、「和」を扱うショップや展覧会なども増えておりますが、一時の「ブーム」や単発の「花火」を上げるだけでは、本当の意味で日本の「美」と「技」を守り、「伝統」や「文化」を伝えることはできません。
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本来、伝統工芸と云うものは、底辺の若い職人達から頂点に立つ巨匠までが裾野の広いピラミッドを形成して初めて成り立つものであり、現在のような一本の「蜘蛛の糸」に全員がぶら下がる状況に至った原因は、私をも含め伝統工芸に携る者すべての努力不足でしょう。
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「使い捨て」を基本とする戦後の資本主義の中で、受け継いで行くべき「伝統」や「文化」は切り捨てられ、苦労する親の姿を見るにつけ、家業を継ぐ若者も少なく、たとえ志しを持って始めたとしても、結婚や相続などの人生の節目に、道半端にして転職する人も多いのです。
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もちろん高名な先生方のお仕事が切れることはありませんが、中堅の作家や一般の職人達は技術があるのに仕事が無く、さらに若い職人が腕を上げるために必要な小さな仕事すら無く、私は以前から「新しい需要を生む新商品の開発が急務。」だと考えておりました。
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先ずは、『お椀などの漆器にこだわらず、良く使うものに蒔絵の「美」と「技」を残す。』という発想から、2005年にオーストリア・リーデル社のワイングラスに本格的な「蒔絵」を施した、「本金蒔絵ワイングラス」を商品化し、お蔭様で今でも沢山のご注文をいただいております。
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「本金蒔絵ワイングラス」の成功を受け、『よりお求めやすい価格で、より多くの方々に、本物の漆の「美」と「技」を知っていただける物を。』と考案した「うるしおり」は、吉野檜を「本うるし」で塗り上げた書籍用の「しおり」で、発売以来、各方面から大変ご好評いただいております。
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そして、この「天然の貝」に「漆の技」を載せたジュエリー「うるしぇる」は、ある作家との出会いによって生まれ、さまざまなシーンでお使いいただける現代感覚の「漆の美」としてプロデュースし、皆様のお力添えを得て、2008年の「富士鳥居オリジナル商品」として販売を開始いたしました。
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弊店は元々古美術の店であり、数ある古美術の中から本当の「美」と「価値」を見極め、お客様にお求めいただくことで未来に繋いでおります。さらに、数多くの古美術を扱ってきた経験と人脈を活かし、様々な美術品を企画・制作することで、日本の「美」と「技」を守り伝えております。
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一段と進む効率主義や利益優先の時代にあってこそ、弊店は創業以来の理念を守り、見えないところにまで手間を掛けるような日本の「物造りの心」と、その根本を成す「思い遣りの心」を、改めて皆様に知っていただくと共に、海外にも発信したいと希望いたしております。
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「うるしぇる」は、時や場所また男女や和洋も問わず、様々な贈り物やコンペの賞品、さらに日本から発信する数少ないジュエリーとして、海外へのギフトやお土産にもご利用いただいております。しかし、この「うるしぇる」もまた、より多くの人に「日本の心」を知っていただくための方便なのです。
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始めてこのウェブサイトに来られた方、また毎々お引き立てをいただいております顧客の皆々様には、今後ともご愛顧を賜わりますと共に、関係者各位様には、誠に勝手ながら、日本の「美」と「技」を守り伝えるという私共の大義に、お力添えを戴きますれば幸いでございます。
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社団法人 日本漆工協会 理事 株式会社 富士鳥居 代表取締役
 栗原 直弘
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